ご挨拶

この度、第19回日本渡航医学会学術集会を、平成27年〔2015年〕7月25日(土)〜26日(日)に、東京女子医科大学弥生記念講堂で開催する運びとなりました。本学術集会は、毎年、渡航者ワクチンを始めとして、薬剤予防・治療の話題、渡航上の様々な健康問題などについてグローバルな視点で議論しており、渡航者の健康管理に大きな役割を果してきました。

 

昨年はデング熱の国内感染患者の発生、西アフリカを中心としたエボラ出血熱の流行が大きく報道され、日本でもいわゆる熱帯病への関心が高まりました。そして日本人渡航者が様々な熱帯病に感染するリスクも一層高まっています。

 

一方、グローバリゼーションの潮流の中、日本の企業もその大小や種別を問わず熱帯病の流行地での活動を展開しています。そこで産業医学の分野でも、インフルエンザや風疹等の感染症対策のみならず、熱帯病などこれまで日本ではなじみの少なかった感染症への対応も重要な位置を占めるようになりました。

 

そこで今回の学術集会ではテーマを「熱帯病から企業戦士を守る」とし、熱帯病と産業医学に焦点を絞ることとしました。熱帯病について基礎から臨床まで、最近の動向と課題について参加者の方々に総括的に理解を深めて頂けるプログラムを企画しました。また産業医学の分野に従事される方々にもご参加を頂き、熱帯病に罹患するリスクの高い海外赴任・出張者に対するワクチン接種や予防投薬など具体的な対策に関するアップデートとともに、今後の課題について議論をして頂ければと思います。そして学術集会を通じて、渡航医学と産業医学の経験と知見を有する参加者の交流が深まることを期待しています。

 

また今回は、国境を跨いで活動する邦人を支援するNPO「ジャムズネット」の協力を得ての開催となります。学術集会終了後、引き続き同会場にてジャムズネットが主催する一般向け講演会も開催する予定です。これを機に日本渡航医学会とジャムズネットとの一層の交流・連携も深まることを期待しています。
学会員を始め、多くの方々のご参加をお待ちしています。

 

遠藤 弘良

 

第19回日本渡航医学会学術集会 大会長

東京女子医科大学 国際環境・熱帯 医学講座 教授