イオン東大里山ラボ シンポジウム
2023年2月4日(土)14:00~17:30
当日のWebでのQ&Aやアンケートに書いていただいた質問に一部ではありますが、ご回答いたします。重複した質問など、質問内容を一部改変しております。今後も回答を追加することもございます。(複数の回答者がいる場合、●で示しております)
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講演資料をもらうことはできますか?
投影した資料のデータは公開できませんが、動画を公開しておりますので、そちらをご確認ください。講演中に参照した平塚市の資料
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未来ビジョン研究センターのメールマガジンは誰でも登録できるものですか?
未来ビジョン研究センターのメルマガはどなたでもご登録いただけます。イオン東大里山ラボ以外にもイベントなどの開催案内をお送りしております。下記からご登録ください。https://ifi.u-tokyo.ac.jp/contact/newsletter/
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飯島様の発表内にあった研究事例などについての詳細を知りたいです。どういう風な研究を行ったのか、またその数字をどのように分析したのかなど論文等になっているようでしたら、そのタイトルなどを教えていただければ幸いです。
この回答欄だけでは限られた情報しかご提供できないでしょう。もしご興味があれば、飯島関連の所属先のホームページ問い合わせフォームのメールを頂ければ幸いです。可能な範囲でご対応いたします。飯島関連の所属先のホームページはこちらから。
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フレイルサポーターは基本的にボランティアですか?(賃金等有無)
各導入自治体のその体制は任せておりますが、導入自治体の大半は住民ボランティアの形式になっております。(市内バスなどの交通費だけは謝礼として提供している自治体も存在します。)基本形はボランティアです。
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活動当初に障壁となったことやご苦労されたことを共有頂き、どう突破されたのかをご教示頂ければ幸いです。
●様々な地域活性化策を実現するには、地域住民とのそれぞれの課題の共有が最も重要であると考えています。行政からの一方通行により、地域住民に「やらされている感」を持たれたら、長続きはしません。また、地域内で持続的に活動していく上では、地域内にリーダーシップを発揮できる存在がいないと難しいと感じます。リーダーの発掘、育成が課題ではあると感じています。
●障壁があろうとなかろうと、まず行動することを第一に考えています。1人の大学生が始めたバンブーフェスティバルをコミュニティのモデルとして、成長させていきたいと思っています。
●フレイルチェックを導入した当初は、市内で「フレイル」という言葉の認知が進んでいなかったため、平塚市役所ホームページに「フレイル専用サイト」を設けたり、地域包括支援センターと連携し、通いの場へ「出張フレイル講座」を実施し周知に努めました。その後2019年頃から新型コロナウイルス感染症が拡大し、フレイルチェックを半年間実施できない時期がありました。しかしコロナフレイルの進行を予防する必要性、フレイルチェックを続ける重要性をフレイルサポーターと行政、地域包括支援センターが共に共有し、感染を予防しながら活動を再開する方法を協議してフレイルチェックを再開、継続してきました。このように当市では、フレイルサポーターと市役所、地域包括支援センターが共に考え活動を展開することで、様々な困難を乗り越えることができていると感じています。 -
フレイルチェック導入にあたり、「健康には興味があるけれども人と関わるのが苦手、行動したいけど億劫になる方」は平塚市にも何名かいらっしゃると思いますが、興味を持ってもらうための活動等はされてたりしているのでしょうか?
フレイルチェック導入にあたり平塚市では、市役所ホームページに「フレイル専用サイト」を作成し、フレイルについて広く知っていただく機会を設けたり、地域包括支援センターと連携し、フレイルを周知するための「出張フレイル講座」を2年間かけて全ての通いの場(当時およそ119団体)へ実施する等の活動を行ってきました。またコロナ禍には外出自粛制限で閉じこもりがちな高齢者に向けた「自宅でできるフレイル予防」シリーズのリーフレットを作成し、市内のスーパー等で配架、ホームページへの掲載等の活動を実施してきました。
これらの活動によって、フレイルチェックに参加する前にフレイルへの関心を持ってもらうことや、地域で活動している方が知人を誘ってくださるなどのきっかけでフレイルチェックに参加される方が増えてきたと考えています。 -
松尾様の緑化活動はハイツの管理人や自治体の許可をもらってから行えるものなのですか?私の地域でもぜひ行いたいと思いました。
「湘南高浜台ハイツ住宅管理組合規約」の中に「グリーンクラブ会則」があり、グリーンクラブの目的を住民に周知し活動しています。
目的:ハイツ内及びその周辺の恵まれた環境を維持するとともに、緑樹の増殖を図り、更に花壇等を設置し、色彩豊かな環境づくりにより幼児・児童の情操教育にも役立てる。
これのために必要な活動に奉仕することを目的としている。
また、管理組合の名のもとに「ハイツ みどりのマニュアル ―ハイツ環境憲章―」を作成し、組合員(マンションの住民)全員に配布・周知を図っています。 -
この20年,アレルギーやアトピー性皮膚炎など皮膚疾患を持つお子さんが非常に増えたと思います。一方,本日,登壇されました佐渡市様のようにお子様,孫世代へ食と緑を連携を強化されますと,日本の古き良き核家族が一軒の家の中ではなく,地域間を超えた,人と人との繋がりを深められるように感じました。貴財団として,植樹を通して,人財育成をどのように捉えていますでしょうか?
植樹を通して、身近な自然や自然保護問題に関心をもってもらうことから始めます。自然環境についての理解や認識を深めてもらい、保護・保全を解決する技術を学び、解決する適切な行動がとり、次世代につなげる活動が出来るようになっていただきいと考えます。自らが地域内外の方々にも伝え、自然保全・利活用について、活動の輪を広げてくれる人材になってもらいたいと考えております。
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佐渡の竹産業は伝統的と思いますが、佐渡或いは新潟として一体化した新価値を生み出して、世界へ羽ばたけないでしょうか。その中でイオンがサポートできることはないのでしょうか。今回の作品は孟宗竹のように見えましたが、真竹と篠竹の名産地とも伺っています。こちらの利用はいかがでしょうか
●佐渡において竹は身近な存在であり、春の旬として楽しまれている孟宗竹の筍は、島内あらゆる地区でたくさん採られるため、この時期になると筍のお裾分けで賑わいます。これは、淡竹の筍が出てくる時期まで続き、アク抜き作業や筍料理に飽きてきた頃、佐渡では夏を迎えます。竹細工に使われる竹は、地方によって様々ですが、日用品の材料であった竹は、その地にたくさん自生しているものが便利だったからと言われています。中でも真竹は竹かごづくりに適した性質から広く使われていますが、寒い土地では真竹は育ちにくいと言われ、東北以北の地方では真竹の代わりに篠竹が使われています。
佐渡は東北地方の一部でありますが、周囲を海に囲まれ、暖流が佐渡沖を通っていることもあり、比較的温暖なため、自生する竹や笹の種類は豊富であり、佐渡の竹細工では主に真竹、淡竹、孟宗竹、篠竹など多くの種類が使われてきました。中でも、真竹の生育地として佐渡は北限地と言われ、寒い地で育った真竹は丈夫でしなやかさをもつとして良質な竹の産地として知られ、また、北の地に真竹を供給する拠点でもあったと言われています。
しかし、日用品はプラスチック製品であふれ、竹の利用頻度が著しく低下した今、佐渡の竹林は荒廃し、そして竹細工の技を持つ職人も数人となり、後継者不足で技の伝承が危ぶまれています。この現状を打開するため、竹細工の技を伝承している職人は、現代の生活様式やニーズに即した商品を作り出し、より多くの人から手に取っていただき、土産物等の定番となっている他、繊細で大胆な竹芸作品は芸術品として、国内外で高い評価を受けております。
●私個人として、以前から筍の水煮を販売したいという思いがあります。筍を利用することが多少なりとも竹林整備に貢献すると考えているからです。
SDGs的に商品化するには、まず竹を燃料として筍を茹でます。レトルト殺菌器の電力は竹を電気エネルギーに変換させ真空包装したら面白いのではないかと考えています。小学生からお年寄りまで参加するコミュニティビジネスとして、佐渡の可能性をみんなで考える教育としての「筍の水煮」販売を目指したいと思っています。こだわりの商品は、海外に受け入れられるのではないでしょうか?
また、以下の知人の考えと、朱鷺の里秋津公房さんのホームページもご覧ください。
PDF : 竹(林)を活用した二酸化炭素削減計画_ver1.2朱鷺の里 秋津工房HP
●イオン環境財団は東京大学未来ビジョン研究センターとの共同研究におきまして、里山資源を活用した新たな産業の創造とその担い手の確保、地域に住み続ける暮らしの確保することも大きなテーマとしております。当財団では、地球環境の保全、地域環境の保全のために積極的、継続的に活動を行っているNPOやNGOなどの団体に、活動資金の一部を支援する助成事業を実施しており、毎年公募を行っております。里山にある荒廃した竹林を整備する活動や竹資源の利活用についても、助成選考の対象となる可能性がございますので、詳しくは当財団HPをご覧ください。 -
自分は世の区分であれば高齢者(70代)だと思いますが、歳になってもフレイルは実感がないです。自分がフレイルになりそうになって、はじめて自分の問題としてのフレイルに関心を持てると思います。フレイルに関心を持つには、自分の習慣性以外のアプローチが必要と思います。(高齢者の問題であっても、自分の問題にならないです。)
まずは自分の健康にご興味を持っているかどうか、という部分が根底には存在します。その上で、フレイルチェックのように、自分の気づき・自分事化するためのツールを考案しており、それが「自分の立ち位置の見える化」を狙いにしており、全国展開している戦略です。自分の感覚も重要ですが、客観性を持たせた上での評価というものを時には必要であると考えます。しかし、大原則としては、このフレイルチェック等のようなものは、人からうるさく言われて、しょうがなくやるものではなく、まずは自分に対する興味の部分の気持ちから、自分で腰を上げるという原点のものであろうと思います。そうしますと、全ての国民を同じ価値観にして、一律に腰を上げさせるということは絶対に不可能であります。まずは興味をもって腰を上げたい、という方々が多くなってしまうことは、どんな時代でも避けられません。なるべく裾野を広く目指して取り組むにしても、それが永遠に払拭できない課題であろうと認識しております。
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社会活動で健康が増進することに活動による運動量が一因との話があり、また人とのつながりが大切という話もありました。人とのつながり自体での健康への影響とはどういうものがあるのでしょうか?
単純に考えれば、「人とのつながり」自体が握力や脚力などをdirect effectとして影響することはないのでしょう。しかし、この人とのつながりを基盤として、地域交流や社会参加のチャンスは一定以上保たれるような日常生活を送ることが出来、結果的に身体活動が高まる流れを作れるなど、いわゆるindirect effectの部分の方が大きいことが予想されます。とはいえ、ヘルスケアは、そのような間接的な影響も大きな比重をもっており、包括的な影響は大きいと思います。
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フレイルチェックのための自己紹介アンケートのようなものはできないか。自分の特技、趣味、運動経験等をデータ収集して、いきがい創生のための基本としてはどうか。単に活動しろといってもなかなか動けない人が多いのではないか。
単に活動しろと言っても、すぐに腰を上げられない、さらには継続性があまりない、というのは、以前から言われてきていることであり、どの自治体でも全国で抱えている悩みであり、そう簡単に払拭できる問題ではありません。ご指摘の通り、自分の特技、趣味、運動経験等を基盤の情報をもとに、とにかく「来年の今頃も継続できているような、自分自身の日常生活の一工夫、マイナーチェンジ、生活のちょい足しが何なのか?」というところに結びつくと思います。ご本人にとっての「いきがい創生」ということもまさにごもっともですが、それを各個人にリアリティさを持って府に落として頂き、自分事のように認識してもらいながら、行動変容をしてもらいたいと思います。その際に、漠然と何かに踏み出すではなく、特に食事と口腔機能と身体活動に関しては、かなり豊富な最新知見・根拠として既に出ています。よって、同じ何かをやり始める際に、特にこの分野においては最新の根拠のある内容も少しでも知っていると、やり方の工夫にもつながると思います。
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日本全体の生態系の分析を環境DNAで調べ、日本全国の生態系分布を調査する。そのための溶液サンプリングを全国の高齢者や老人ホーム等で行い、環境DNA学会と連携して取り組む。また地中の植物の根に共生菌があるので、これらを調べるアグロフォレスストリーで農業の産物革命を行うようにしてはどうか。こうした取組は高齢者の生きがいにつながるのではないか。
高齢者の「生きがい」においても、多岐にわたると思います。ご質問者の述べられているものも、多様性の中の一つなのでしょう。 その考え方の中で、私どもは「地域高齢者が自分の住んでいるまちに対して、地域貢献を軸とした健康長寿まちづくり戦略」を考案し、全国多くの自治体に高齢住民フレイルサポーターを養成し、「自分たちのまちは自分たちで守る・創る」という自助・互助の住民主体活動プラットフォームを構築している最中です。
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学校のクラブ活動等に経験のある高齢者を参加させる試みがあれば、生きがい創生につながる。ただ単に健康作り、としては持続可能な活動にならない。
仰る通り、「健康のために、健康に資することをやる」ということは、ほぼ限界に行き着いており、国家戦略である健康長寿戦略としては次なるステージに入る必要がある、と考えております。特に、専門職が中心となって介護予防の基礎知識を伝えていく従来のスタイルでは、かなり限界であると判断します。だからこそ、自助・互助の方向性を改めて今の時代に合わせた感覚で再構築している一環が私どもの取り組みになります。その大きな戦略の中で、「学校のクラブ活動等に経験のある高齢者を参加させる試み。まさに生きがいになる」ということは間違いないでしょう。これが間違いないのかどうかということも重要ですが、それ以上に、その流れを各地域の中に根付かせて、様々な高齢者に多様な(自分に合った)選択肢を選べ、心地よく継続できる、という地域での活動基盤と機運を構築して行く必要があり、そこが難しいと感じております。
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ユニバーサルデザインのまちづくりワークショップ(江東区)に参加している。まちの中にはバリアフリーが進んでいないところ、外国人がなかなか集えない等の問題が潜んでいる。こういうまちづくりに高齢者を動員できないか。
このご指摘も発想力という意味では素晴らしいと思います。これ以外にも、もっともっと斬新なアイデアも出てくるはずです。他の質問にも同様の回答をしましたが、このご提案が良いのか悪いのかではなく、それ以上に、その流れを各地域の中に根付かせて、様々な高齢者に多様な(自分に合った)選択肢を選べ、心地よく継続できる、という地域での活動基盤と機運を構築して行く必要があり、そこが難しいと感じております。
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今日午前に東大・古村氏による首都直下地震に対する備えのセミナーを受けた。防災まちづくり、木造住宅の耐震化、マンションの住民の長周期地震動等の問題もあった。防災まちづくりに高齢者の組織化ができないか。
「防災」の視点は、高齢者だけではなく、他の世代ももう少し集めるキッカケ(フック)にはなり得ます。その上で、一時的に集めただけではなく、目の前の集結した集団を「組織化」して、一定のモチベーションを持たせ、その組織の機能を維持向上していくということが難しいのだろうと思います。とはいえ、そのような流れを少しでも作れるように、その最初のキッカケやモデル活動などを戦略的に構築して行かなければならないことは言うまでのないでしょう。
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フレイル予防にお風呂の中でのエクササイズ(バタ足やアッパーカットや水鉄砲等)はどうか。ただし熱いお湯ではなくぬるま湯が必要である。防災士の人は高齢者が多い。これらの高齢者を高齢者防災グループを組織して防災まちづくりの活動できないか。関東大震災では多くの教訓が眠ったままである。地域の高齢者でこうした関東大震災の教訓掘り起こしができないか。里山の景観保全などにドローンを使ったり、景観保全要因をAIで分析してみるような試みはできないか。若者を引き付けるにはこのような先端技術の試みも必要であり、東大・松尾氏等に協力を求めるのはどうか。イオン等でサウナ型の運動ボックスとかぬるま湯エクササイズ浴槽(ウェットスーツ着用等)は開発できないか。太平洋でアマゾン型海洋牧場を作るというような課題を高校生・大学生に投げかけてみるのもいいかもしれない。面白がると思うし、国連等への働きかけもできるといい。
様々なご提案をありがとうございます。全てにおいて魅力的であり、実現してみたいものばかりであります。私の持っている持論とポリシーとしては、その個々の提案が良いかどうかも重要ですが、それ以前に、その多様な提案をどれだけ具現化して、しかも地域に根付かせて、個々人の継続性につなげたり、さらには、その地域で継続性のある活動に成長発展していくのか。この部分の方が非常に難しく、それに傾注してくれる人材の確保や、継続のための工夫、等、様々な配慮と工夫が必要になると感じております。